Kissのひとりごと

日々のいろいろな場面で感じた心象風景や人生を三倍楽しむために工夫してきた小さなヒント……
などを気ままに綴っていく1片1片がやがて、Kissファンの楽しみとなれば・・・

*** 2月の想い・・・小さなすみれの花束 ***

Vol.ⅩⅩVI Feb. 1. 2019

2月は、母の誕生月でもある。最近は認知症がすすみ、記憶もあやふやな母ではあるが、お誕生日にはランチに一緒に出かけることにしている。そんな母の誕生日で、印象深く覚えていることがある。それは、私が高校生だったか、大学生だったか、父が小さなすみれの花束をそっと母にプレゼントした場面である。花を贈るなんて、映画や、小説の中のロマンティックな憧れ、あるいは、外国の習慣にすぎないと思っていた多感な時期故に、鮮明な記憶となっているのかもしれないが、それは、それは、なんて素敵なんだろうと感激したのである。
そのとき、父が私に言った「世の中の男が、みんなお父さんみたいに妻の誕生日に花を贈るなんて思うなよ」という言葉もまた心に残っているのである。今思えば、父にしてみれば、こんな格好良い事をしているんだという自負の発言だったのかもしれないが、最近では、確かに父の言葉は、言い得て妙であると納得してしまうのも事実である。しかも、大きな薔薇などの花束ではなく、可憐なすみれの花束だったことも、妙にお洒落で気が利いていたように感じたのかもしれない。
すみれといえば、もう一つ、思い出されることがある。それは、「愛情物語」という天才ジャズピアニスト、エディ・デュ-ティンの生涯と夫婦愛を描いた映画の中で妻が重要なシーンでは必ず、すみれの花を身につけており、やはり多感な10代だった私にとっては、映画の感動とともに、紫の可憐な花が特別なものとなっているのである。
それ以降、私にとって、すみれは大好きな花のひとつとなり、春を感じる花となっている。
すみれは、主に野山にひっそりと咲く山野草であり、この慎ましい紫の色と佇まいに惹かれるのだが、最近はパンジー(三色すみれと呼ばれる)やヴィオラもすみれと称されているようで、こちらも含めて好きな花ではある。パンジーとヴィオラも元々は野草で、本来、花の大きさでの呼称の違いだったようだが、この頃では、交配が進み、ほとんど区別がなくなってきているということも付け加えておく。
 
「2月の声をきくと、頭上のサクラの枝の色づきを楽しみつつ、足元の紫をはじめとした様々なすみれを愛おしむことに、想いを馳せ、嬉しくなれることが豊かさなのかも・・・」
 
というひとりごとでした。

 



 
 
  
 
 
 

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